再⽣因⼦注⼊療法

コラム

オーバーユース症候群(使い過ぎ症候群)

トミー・ジョン手術か人工靭帯の移植手術か。プロ野球大谷翔平選手の肘の手術が話題になっていますね。野球肘はスポーツ障害の一つで、過度に繰り返される投球が原因となって起こります。

今回は、この「過度に」を原因として起こるオーバーユース症候群(使い過ぎ症候群)について取り上げようと思います。オーバーユース症候群は野球だけに限られたものではありませんが、野球肘を例に話を進めていきます。

野球肘について

まずは野球肘について簡潔に説明しますね。

野球肘とは、主に投球動作が原因で起こり、肘の軟部組織や軟骨、靭帯、筋肉、腱などが損傷するスポーツ障害の総称です。大きく「内側型」と「外側型」に分類され、大谷翔平選手は「内側型」の障害です。

また、野球肘は発症時期によっても、「発育型野球肘」と「成人型野球肘」に分けられます。成人型の場合、投球動作の繰り返しにより内側側副靭帯が損傷して起こることが多いです。

大谷翔平選手の右肘の靭帯修復の選択肢として、

1.トミー・ジョン手術
2.人工じん帯の移植手術
3.1と2を合わせたハイブリッド手術
4.PRP療法

の4つが挙げられていました。

(引用: https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230920/k10014200711000.html)

トミー・ジョン手術とは、肘内側側副靭帯再建手術のことで、トミー・ジョン投手が受けたことにちなんで呼ばれる俗称です。

野球肘、PRP療法については、以前のコラムで取り上げていますので、

参考になさってください。

野球肘⇒肘の痛みとPRP療法(2)野球肘

PRP療法⇒ 肘の痛みとPRP療法(4)PRP療法の実際

オーバーユース症候群(使い過ぎ症候群)とは

からだの一部を使いすぎることで起こるスポーツ障害は、オーバーユース症候群とも呼ばれます。これは野球だけに限らず、ランナー膝、ゴルフ肘、シンスプリントなど、他のスポーツでも起こります。

初期にはスポーツ中の違和感や軽い痛み程度ですが、次第に慢性化してプレーに影響を及ぼすようになり、さらに悪化すると日常生活にまで支障を来たします。

大切なのは、疲労がたまったからだの組織をケアすることです。からだを使いすぎると、柔軟性の低下や欠如、免疫力の低下、間違ったフォームの原因となってしまう恐れがあります。十分な睡眠や休養を取って適度な柔軟性を確保することが、早期の回復を目指すことにつながります。

余談になりますが、スポーツなどによって生じた生理的な疲労が十分に回復しないまま積み重なって引き起こされる慢性疲労状態を「オーバートレーニング症候群」と言います。疲労回復に必要な栄養と休養を必要とする点では、オーバーユース症候群と共通しますが、整形外科的なスポーツ障害とは区別されます。

最後に

練習を休むことはとても勇気が要ります。でも、痛みは、からだからの重要なシグナルです。そのシグナルを大切にしてほしいと思い、今回はオーバーユース症候群についてご紹介させていただきました。

大谷翔平選手のような超一流選手でも、野球肘をコントロールするのは難しいのですね。手術は無事成功したようですので、今後のさらなる活躍を期待したいと思います。

参考サイト:

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230920/k10014200711000.html

https://kansetsu-life.com/shldr_elbw/4_04.html

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/sports/pdf/sports-siryo2410-5-1-3.pdf

https://www.healthcare.omron.co.jp/pain-with/sports-chronic-pain/lifestyle-for-chronic-pain/