再⽣因⼦注⼊療法

コラム

「半月板逸脱」をご存じですか?

半月板逸脱(はんげつばんいつだつ)という言葉を聞いたことはありますか?

内側半月板後根断裂という診断名がつくこともあります。

50歳以降に多く見られる疾患で、変形性膝関節症と診断されることも少なくありません。

変形性膝関節症の手術の際、半月板逸脱が認められるケースが多いことが報告されています。

半月板逸脱は、変形性膝関節症の原因にもなりますし、変形性膝関節症を悪化させる要因にもなってしまいます。

では、解説していきましょう。

<半月板逸脱ってどんな病気?>

ごく軽い外傷が契機になることもありますし、突然に膝の後方に痛みを感じて発症することもあります。軽い外傷と言っても、階段の昇降時に強く足を着いたという程度のものですが、プチッという感覚とともに発症するのが特徴です。

整形外科に行っても、レントゲン写真では軽い変形性膝関節症を指摘されることがあるかも知れませんが、特に異常が見つからないため、診断がつかないこともあります。レントゲン写真の異常と痛みの強さに大きなギャップがあることも特徴的で、MRI検査を受ければ診断がつきます。

どうなっているのかと言うと、半月板が大腿骨と脛骨の間の本来あるべき場所からはみ出て(逸脱して)しまっているのです。半月板は膝関節内でクッションの役割を果たしているので、そのクッションの役割がなくなることで強い痛みが起こるのです。

<半月板逸脱の対処法は?>

強い痛み止めや膝関節内への注射では、一時的な痛みの緩和にしかなりません。そして、この逸脱している状態が続くと、大腿骨顆部骨壊死が続発したり、痛みがどんどん増悪したりします。

有効な手段は手術です。ですが、適応はスポーツ活動を続けたい方や、日常生活の活動性が高い場合に限定されることが多いです。

<まとめ>

変形性膝関節症の原因として、半月板逸脱が関わっていることが分かってきています。変形性膝関節症が進行する前に、半月板逸脱を改善させる治療の検討も行われています。日本国内で約800万人いるとされる症状がある変形性膝関節症の方が、少しでもラクになれるといいですね。


参考サイト:

https://tmdu-orth.jp/knee-disease/post-402

内側半月板後根断裂の診断と治療 – 東京逓信病院 (japanpost.jp)