再⽣因⼦注⼊療法

コラム

膝の痛みが出る病気やケガ

膝が痛いと聞くと、まず思い浮かべるのは変形性膝関節症かもしれません。しかし他の病気やケガが隠れていることも。よく目にする病気やケガと、その痛みの特徴についてお伝えします。「老化による痛みかも!?」と考えていたけれど、もしかしたら違うかもしれないと感じた方は、早めに整形外科に相談してくださいね。

加齢が原因:変形性膝関節症

加齢により軟骨が擦り減って起こるのが変形性膝関節症です。症状の進行は緩やかで、初期には動き始めに痛みを感じる程度ですが、徐々に痛みが続くようになり、変形が強くなると歩けなくなっていきます。

免疫異常が原因:関節リウマチ

関節リウマチは免疫の異常により関節の炎症が起こり、関節に腫れや痛みを生じ、進行すると関節の変形や機能障害を起こす病気です。朝のこわばりが特徴的ですが、

手だけではなく膝・肘・肩・足首など複数の関節に症状が現れることも多いです。膝の症状では、膝の裏側に痛みを感じる方が多いようです。家族歴・喫煙・歯周炎がリスク因子とされています。朝のこわばりが15分以上続いたり、関節の痛みが6週間以上続いたりするようであれば、整形外科を受診してください。

炎症が原因:痛風・偽痛風・化膿性膝関節炎

膝の炎症による腫れや痛みが現れる病気に、痛風や偽痛風、化膿性膝関節炎があります。これらは炎症が原因となっているので、変形性膝関節症に比べ急激に症状が強くなることが多いです。

・化膿性膝関節炎

何らかの原因で細菌に感染し、膝関節に炎症が起こり発症します。ほとんどの場合が急激に悪化し、膝に痛み・腫れ・発熱が生じます。早急な治療が必要になります。

・痛風

痛風結節と呼ばれる尿酸ナトリウムの結晶が、炎症性サイトカインという物質を産生することで炎症や痛みが生じます。結晶が詰まったり刺さったりすることが痛みの原因ではありません。

・偽痛風

ピロリン酸カルシウムの結晶が関節軟骨や周囲組織へ沈着し、それが原因で炎症が起こります。関節が激烈に痛み、発熱・腫れ・赤み・運動時の痛みが現れます。痛風と同じような関節炎の症状ですが、高尿酸結晶(痛風)は見られません。

外傷が原因:半月板損傷・靭帯損傷・骨折

・膝靭帯損傷

受傷後3週間くらいは膝の痛みと関節内血腫が見られ、膝の動きに制限が起こります。その後、特に下り坂やひねる動作の時に膝の不安定感を感じるようになります。放置すると半月板損傷や軟骨損傷に至ることがあります。

・半月板損傷

あまり知られていないですが、40歳以上になると、膝の加齢的変化により、大きな受傷ではなくても半月板損傷が起こりやすくなります。膝の曲げ伸ばしの際に引っかかりを感じ、「ロッキング」という急に膝が動かなくなる症状が特徴的です。痛みも伴います。

・膝蓋骨骨折

膝蓋骨とはいわゆる「膝のお皿の骨」ですが、転倒や打撲により骨折することがあります。膝蓋骨が骨折すると骨に付着している筋肉や腱によって引っ張られ、骨折部が引き離されていきます。膝が動かなくなり、大きく腫れます。手術が必要になる場合があります。

スポーツによる膝の慢性障害

オーバートレーニングによるもので、使い過ぎ症候群とも呼ばれます。

大腿四頭筋付着部炎(ジャンパー膝)・膝蓋腱炎(ジャンパー膝)・鵞足(がそく)炎・腸頸帯炎(ランナー膝)などが知られています。

大腿四頭筋付着部炎(ジャンパー膝)では膝の上部が、膝蓋腱炎(ジャンパー膝)では膝の前面が、鵞足(がそく)炎では膝の内側が、腸頸靭帯炎(ランナー膝)では膝の外側に痛みを感じることが多いようです。

まとめ

このように、膝の痛みと言ってもさまざまな原因によるものがあり、痛みや症状に特徴があります。急激に痛みや腫れがひどくなる場合は、すぐに受診を検討しましょう。緩やかな症状でも、1ヶ月以上症状が続くときは、一度整形外科への受診をお勧めします。

参考

「スポーツによる膝の慢性障害」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる (joa.or.jp)

膝の病気一覧 – ドクターズ・ファイル

よくわかるほねとひざ.com|中外製薬株式会社 (hone-hiza.com)

偽痛風 | 一般社団法人 日本リウマチ学会(JCR) (ryumachi-jp.com)

関節リウマチ(RA) | 一般社団法人 日本リウマチ学会(JCR) (ryumachi-jp.com)

ピロリン酸カルシウム関節炎 – 08. 骨、関節、筋肉の病気 – MSDマニュアル家庭版

(msdmanuals.com)

痛風と偽痛風|東邦大学医療センター大森病院 臨床検査部 (toho-u.ac.jp)

関節治療オンライン (seikei-online.jp)

膝蓋骨骨折|一般社団法人 日本骨折治療学会 骨折の解説 (jsfr.jp)