変形性膝関節症の治療~外用薬編~
変形性膝関節症からくる膝の痛みを取るために、湿布や塗り薬などの外用薬を処方されることはよくあることです。とはいえ、飲み薬のように使い方や用量に気を配る方は少ないように感じます。湿布や塗り薬にも使用の際の注意点があります。思わぬ副作用で困らないように、使用上の注意点や知っておくと便利な情報をお伝えします。
外用薬の種類と特徴
変形性膝関節症で使用する主な外用薬は、湿布と塗り薬です。
湿布薬には、水分を含んでいるパップ剤と水分を含まないプラスター剤があります。
パップ剤には冷湿布と温湿布があります。
パップ剤は水分を含んでいるので保湿作用があり、含まれている水分の蒸発作用によって冷却効果が期待できます。温湿布も、貼った時には冷たく感じますが、成分の効果で徐々に温かくなってきます。温湿布は唐辛子成分(カプサイシン)を含んでおり、皮膚が弱い人は特に注意して使用しましょう。
プラスター剤は、水分を含んでおらず、密着性があるのでかぶれに注意してください。
湿布薬以外の外用薬としては、クリームや軟膏剤、ゲル剤などの塗り薬や、液体のローション剤があります。
クリームor軟膏剤:皮膚に擦り込んで使用することで、マッサージ効果が期待できる。べたつきが少なくてのびが良く、皮膚への刺激が少ないのが利点
ゲル剤:薬剤の表面に膜を作ることによって効果が長持ちする。擦り込み過ぎると膜がはがれてしまうので、軽めに塗るようにする。
ローション剤:使用感がさっぱりしていて、広範囲に塗りやすいのが特徴 患部の範囲や皮膚の状態、使用感の好みに合わせてご使用ください。
上手なシップの貼り方もご紹介
湿布薬と飲み薬との比較
飲み薬は血中に溶け込んで作用します。湿布薬は患部の筋肉に到達する薬剤
濃度が飲み薬の30倍(動物実験)に達しますが、血中濃度は10分の1です。含まれている薬剤そのものの成分は変わりませんが、血中濃度が低い分、副作用は起こりにくくなります。
ロキソニンテープ100mgはロキソニン錠60mgの約0.1錠分
ボルタレンテープ15mgはボルタレン錠25mgの約0.1錠分
※血中濃度
引用:ファーマシスタ|湿布薬・テープ剤はどれくらい体に吸収される?
湿布の作用時間ですが、「1日1回貼付」のものと「1日2回貼付」のものに分けられます。
「1日1回貼付」のものは、だいたい8〜10時間程貼れば、はがした後も効果が持続します。
湿布を貼る時間はお風呂上りがいいと言われています。その理由は、皮膚の汚れや油分が洗い流され、湿布が吸着しやすくなり、かぶれも起こりにくくなることに加え、血行が良い状態なので、湿布の効果が出やすいことが挙げられます。
では、湿布薬をはがすのはいつがいいのでしょうか。「1日1回貼付」タイプは約8〜10時間後、「1日2回貼付」タイプは4〜6時間後が目安です。皮膚がかぶれやすい人は、早めにはがしましょう。
注意の必要な湿布剤
湿布剤でも、貼りすぎることで薬剤の血中の濃度が上がり、飲み薬と同じ副作用のリスクが生じることがありますので、注意してください。
また、特別に注意が必要なものがありますので、ご紹介します。
・「ケトプロフェン」を含む湿布剤:光過敏症
湿布を貼ったところに日光が当たることで皮膚が赤くなります。はがした後も4週間程度は光過敏症が生じる可能性があるので、使用部位には日が当たらないよう気を付けてください。また、日焼け止めなどに入っている「オクトクレリン」という成分は、「ケトプロフェン」との相互作用によって光過敏症を起こしやすくなることが報告されています。
・「ロコアテープ」:吸収率が高い
皮膚から高濃度の成分が体内に入るため、飲み薬と同様の消炎・鎮痛効果があり、1日の使用枚数に制限があります。飲み薬との飲み合わせにも注意が必要です。また、ハッカ油を多く含んでいるので、匂いが強いです。喘息や消化性潰瘍などを既往に持つ方は、特に注意が必要です。
まとめ
湿布や塗り薬などは、飲み薬と違って、あまり注意せずに使うことが多いと思いますが、副作用は存在します。用量を守って使用しましょう。適切に使用すれば、
飲み薬よりも副作用が少なく、患部の痛みに直接作用して痛みを和らげてくれます。
参考サイト:
ファーマシスタ|湿布薬・テープ剤はどれくらい体に吸収される?
https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/yakuzai/kusuri.html