「膝に水がたまる」とは?
「膝に水がたまった。」という言葉を耳にしたことが
ありますか。ケガをして血液がたまってしまうことも
ありますが、変形性膝関節症などの病気でも起こる症状
です。
膝に水がたまる原因は?
膝に水がたまる主な原因は、滑膜(かつまく)の炎症に
よるものです。滑膜とは、関節の内側を覆っている薄い
膜のことで、滑膜から関節液が分泌され、軟骨がこすれ
合う時の潤滑油になったり、軟骨へ栄養を補給したりし
ています。
40歳を過ぎると、日常生活でも軟骨にダメージが加
わるようになり、軟骨の一部が関節腔内にはがれ落ち、
機械的に滑膜を刺激するようになってきます。
痛風や偽痛風、関節リウマチや化膿性関節炎などでも
膝に水がたまることがあります。
いずれにしても、滑膜が炎症を起こし、関節液が多量に
産生されることで膝に水がたまるという現象が起こりま
す。
膝にたまった水は抜いたほうがいいの?
膝にたまった水を抜くと癖になると言われることがあり
ますが、そんなことはありません。滑膜の炎症が治まれ
ば、関節液の過剰産生は止まり、水はたまらなくなりま
す。
むしろ、多量の関節液がたまった状態でいることで、膝
が腫れ動きが鈍くなります。これが長引くと、膝の周り
の筋力が徐々に弱まり、軟骨に負担がかかるという悪循
環に陥り、炎症がさらに長引くことになってしまいます。
さらに、健康的な関節液は粘稠性ですが、炎症によって
過剰に作られた関節液は、含まれるヒアルロン酸の濃度
が落ちるため、さらさらになっています。軟骨の潤滑油
としての機能が落ちていますので、水がたまった状態で
いることは望ましくありません。
膝に水がたまってしまったら
通常、膝関節腔内の関節液は2ml前後とされ、針を刺して
抜くことはできません。膝に水がたまった状態のときは、
膝の外側から針を刺し、水を抜きます。
抜いた水の性状で、水がたまってしまった原因を知ること
もできます。
水を抜く処置(関節穿刺)をしたあとは、感染予防のため
すぐには入浴できないことや、当日の激しい運動は避ける
などの注意点があります。
まとめ
変形性膝関節症をはじめ、いくつかの病気が原因で膝に
水がたまってしまうことがあります。膝に水がたまった
状態が長く続くと、腫れや痛みで動きが鈍くなり、筋力
低下を招き、さらに軟骨に負担がかかることで、症状が
悪化していくことも考えられます。
膝に異変を感じた時は、早めに受診して、自分の膝の
状態を確かめましょう。
<参照>
膝の水を抜くと癖になる? | 新潟市医師会 (niigatashi-ishikai.or.jp)
小郡三井医師会
膝にたまった水、ヒアルロン酸について (ogorimii-med.net)
【膝に水がたまる病気一覧】医師が教える自覚症状や家でできる対処法とは?|ひざ痛チャンネル (knee-pain.jp)
膝関節液とは|働きや性状を知っておくと診断や治療を理解しやすくなります! 目指せスポーツドクター目指せスポーツドクター (sports-doctor93.com)