再⽣因⼦注⼊療法

コラム

肘の痛みとPRP療法(1) テニス肘・ゴルフ肘

PRP療法は、血小板が傷を修復する力を利用する再生医療の一つです。自己治癒力を高めて傷の修復を促し、病的な炎症を抑える働きを期待して行われます。変形性関節症やスポーツ外傷など、治療の適用範囲が広がりつつあります。

今回はPRP療法の対象となる肘の疾患について取り上げていきましょう。

 「肘が痛い」の原因でよく知られているのが、テニス肘、ゴルフ肘、野球肘と、名前はあまり知られていないかもしれませんが、肘部管症候群があります。これらはすべて、PRP療法の対象となっています。

(1)ではテニス肘とゴルフ肘について、(2)では野球肘について、(3)では肘部管症候群について、(4)では肘の痛みとPRP療法についてお伝えしていきます。

テニス肘とは

テニス肘は、上腕骨外側上顆炎の通称です。中年以降のテニス愛好家に多いのでテニス肘と呼ばれていますが、必ずしもテニスとは関係がなく、肘に負担がかかるような手首や肘・前腕を繰り返し使うような作業で発症するケースが多くあります。また、加齢によって、肘関節の外側にある伸筋腱(手や指を伸ばす筋肉、腱)の付着部が衰えによる変性を来たすことも一因と考えられています。

主な症状は、肘関節の外側から前腕にかけての痛みです。ドアノブをひねる、タオルを絞るなどの動作で痛みが出ます。初めは安静にしていれば痛みはありませんが、進行とともに安静時でも痛みを感じる場合が出てきます。

治療は、局所安静、薬物療法、装具療法、理学療法、手術療法があります。安静を保ち肘の負担を減らすこと、湿布や塗り薬、消炎鎮痛剤の内服や、ステロイドと局所麻酔剤を合わせた薬を肘に注射すること。テニス肘用バンドなどの装着、ストレッチやマッサージ、電気や超音波を当てること。これらの治療で改善がなければ、入院して手術となります。

参考サイト:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000945.html

https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lateral_epicondylitis.html

ゴルフ肘

ゴルフ肘は、上腕骨内側上顆炎の通称です。こちらもゴルフとは必ずしも関係はありません。手首や肘に負担がかかるスポーツや仕事が原因となったり、肘関節内側の屈筋腱(手や指を曲げる筋肉、腱)の加齢による変性が原因になったりします。

主な症状は肘関節の内側から前腕にかけての痛みです。肘を伸ばしたまま物を持ち上げる動作や、タオルを絞る動作などで痛みが出ます。薬指や小指の感覚を司る神経にダメージが及ぶと、薬指や小指にしびれを感じることもあります。

治療は、局所安静、薬物療法、装具療法、理学療法などテニス肘とほぼ同じで、痛みが強い場合には手術になる場合もあります。

参考サイト:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000945.html

まとめ

テニス肘やゴルフ肘は、その名称から使い過ぎが原因と思いがちですが、それだけではなく、加齢によって起こる場合があることをご存じでしたか。治療をしてもなかなか痛みが取れないといった場合には、治療の選択肢として PRP療法を加えてみるのも一つの手かもしれませんね。

次回は野球肘についてお伝えします。

参考サイト: https://seikei-saisei.jp/details.html#jump