再⽣因⼦注⼊療法

コラム

肘の痛みとPRP療法(3) 肘部管症候群

肘の痛みについて、テニス肘・ゴルフ肘、野球肘についてお伝えしてきました。第3弾として、肘部管症候群についてご紹介します。

<肘部管症候群とは>

肘部尺骨神経障害とも言われます。尺骨神経が肘関節の内側の肘部管と呼ばれるトンネルで圧迫されたり牽引されたりすることが原因で傷んでしまい、痛みやしびれ、運動障害が起こる病気です。

手首あたりから先の小指と薬指の小指側半分が痺れます。肘を曲げると症状が強くなる特徴があります。

症状が進むと、小指の下側の手のひらの筋肉や、手の甲全体の筋肉など、手指を動かす筋肉(手内筋)が麻痺して痩せてしまいます。物を掴む力が低下し、細かい指先の動き(巧緻運動)ができなくなり、箸が使いづらいなど日常生活に支障が出てきます。手内筋が麻痺すると、鷲手(わして)変形という、尺骨神経麻痺に特徴的な症状も現れてきます。

特に男性に多く、重労働をする方や過去に外傷歴がある、肘関節に変形がある方に生じやすく、両側に症状が出る例も多くあります。

<肘部管症候群の検査・診断>

症状の確認や臨床所見をもとに、レントゲン検査などの画像検査での評価も合わせ診断を行います。

ティネル様兆候、肘屈曲テスト、フローマン兆候、江川兆候などの検査があります。詳しくは⇒参考: https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000951.html

※肘部管症候群に似た別の疾患との鑑別も必要になります。

頚椎症、胸郭出口症候群、ギヨン管症候群など

<肘部管症候群の治療>

第一の治療は肘関節の安静による保存療法です。できる限り肘を曲げないようにします。

保存療法では効果が乏しく、手内筋が高度に萎縮するような場合は、手術が行われます。肘関節内側を切開して行う「肘部管開放術」、内視鏡を用いた「鏡視下肘部管開放術」があります。肘部管の解放に加えて「キング変法(部分切除)」や「尺骨神経前方移動術」といった術式が追加されることもありますが、病態や主治医の方針により異なります。

症状の経過や筋肉の萎縮が強い場合は、手術後の回復に時間がかかります。

肘部管症候群とPRP療法>

肘部管症候群を対象としてPRP療法を行っている医療機関もあります。本来あった自己治癒力をもう一度活性化させる機転としてPRPを注射することを目的とした治療です。手術にためらいがある方、スポーツへの復帰を早めたい方などが治療を希望されるケースが多いようです。副作用の少ない治療法として、積極的に勧めている医療機関もありますので、既存の治療法では効果が乏しい方は検討の余地ありです。

次回は、肘の痛みに対して行われているPRP療法を、深掘りしてお伝えしますね。

参考サイト:

http://www.neurospine.jp/original39.html

https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000951.html

https://hosp-nerima.juntendo.ac.jp/clinic/orthopaedic_surgery/prp.html