変形性膝関節症の治療 ~内服編~
変形性膝関節症は完治する病気ではありません。治療を進めるにあたって、痛みをコントロールすることはとても大切です。ただ、痛みがラクになったとしても、変形が治った訳ではありません。鎮痛薬だけに頼らず、筋力をつけたり、必要であれば減量したり、膝に負担がかかりにくいような生活の工夫をしたりすることも続けていきましょう。
使われるお薬の種類と注意点
痛みの程度と、別に服用している薬との飲み合わせなどを考慮しながら処方が行われます。
軽症から中等症に使用されるのはアセトアミノフェンです。一般に安全とされ、脳に作用して痛みを抑える薬です。
痛みが激しい場合には、比較的短時間で効果が出やすい薬を使用し、痛みが軽減してきたら、塗り薬や湿布に切り替えるのが一般的な流れです。鎮痛薬の長期服用は胃に負担をかけ、高齢者では多剤服用となることが多いため、できるだけ避けます。特に痛みが激しい場合には、内服薬ではなく、座薬が処方されることもあります。座薬には即効性があり、胃腸が弱くて鎮痛剤を内服できない方向けにも処方される場合があります。
膝に直接作用し、治療をしてもなかなか治らない痛みや炎症(熱感や赤く腫れている状態など)の緩和を図るのが非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:エヌセイズ)です。ロキソプロフェンやジクロフェナクなどが代表的な薬ですが、消化器障害(胃潰瘍など)リスクが高い薬なので、胃薬との併用も考慮されます。症状をより緩和するために、トラマドールやオピオイドといった他の鎮痛薬と併用されることもあります。
経口コルチコステロイド(プレドニゾロンなど)は、炎症を軽減させる薬ですが、2週間以上服用した場合には、急に中止しないよう注意が必要な薬です。長期服用や高容量使用で、全身的に副作用が起きます。処方された場合には、医師の指示通りに服用し、副作用が現れた場合には、すぐに処方医や薬剤師に相談しましょう。
3ヶ月以上痛みが続いている方が対象となってきますが、慢性疼痛の治療薬として、抗うつ薬でもあるデュロキセチン(販売名:サインバルタカプセル)が処方されることがあります。慢性的な痛みを継続的に感じていると体が過敏になってしまうため、これを元に戻す効果を期待して投与されます。精神症状を発現するリスクがありますので、十分注意して服用してください。
まとめ
痛みを和らげ、日常生活の苦痛を軽減させることは大切ですが、鎮痛剤は根本治療ではないことを覚えておく必要があります。
痛みがなくなったからと膝に負担がかかる生活を続けていれば、変形が進み、症状の悪化が早くなってしまいます。逆に安静にし過ぎれば、筋力が落ちたり膝の動きが悪くなったりして、返って悪化してしまいます。
鎮痛薬を上手に使いながら、症状ができるだけ進まないように治療を続け、日常生活の工夫や適度な運動を取り入れていきましょう。痛みが軽減してきたら、外用薬への切り替えも検討してみてください。
参考サイト:
変形性膝関節症の治療――薬物療法、手術 | メディカルノート (medicalnote.jp)
Table: コルチコステロイドの使用法と副作用 – MSDマニュアル家庭版 (msdmanuals.com)
変形性関節症(OA) – 筋骨格系疾患と結合組織疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版 (msdmanuals.com)
デュロキセチン塩酸塩、変形性関節症の疼痛にも効能追加されたが、リスクを考慮した投与を―厚労省 | GemMed | データが拓く新時代医療 (ghc-j.com)
膝の痛みに効く薬の効果と副作用、変形性ひざ関節症の治療 | NHK健康チャンネル
日本整形学会で推奨されている変形性膝関節症の治療法 (ooco.jp)膝の痛みの原因・改善方法ほか一覧 – 変形性膝関節症など症状と対策|痛みwith (omron.co.jp)