股関節が関連するひざの痛み
ひざ痛の原因として、変形性膝関節症や関節リウマチ、膝のケガなどは良く知られていますが、股関節の疾患が原因で膝に痛みが出る場合があることをご存じでしょうか。
膝関節と股関節には密接な関係があります。
ここでは主に、股関節の疾患として変形性股関節症を取り上げ、変形性膝関節症との関係や対処法について説明をしていきます。
<変形性股関節症とは>
まず、変形性股関節症がどのような病気なのかを解説しますね。
変形性膝関節症は加齢が原因となって起きることが多いのに対し、変形性股関節症は、先天性股関節脱臼や骨盤の発育不全(臼蓋形成不全)といった、股関節の形成・発育不全の後遺症が原因となって発症することが多い病気です。最近では、骨盤構造に異常がなくても、骨粗鬆症により骨がもろくなった高齢女性が発症するケースが増えてきています。
軟骨が擦り減って炎症を起こし、痛みが出てくるといった症状の進み方は似ていますが、筋力の弱い女性に多く見られ、初期に痛みが出てくることは少なく、「足の爪切りがやりにくくなった」、「靴下が履きにくくなった」などの症状が出てくるようです。そのうちに、和式トイレの姿勢や正座ができなくなったり、長時間の立位・歩行が困難になってきたりします。
痛みの進み方としては、立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じるようになり、徐々に進行して、持続的な痛みや夜間痛が出てくるようになります。
治療は、まずは関節の負担を減らすために、日常生活の中で痛みを悪化させないよう動作を工夫していくことや、減量を行います。その他に、関節の動きを良くするための運動療法や、炎症を抑えるための薬物療法を行い、最終的には手術を検討します。
<変形性股関節症が膝関節に与える影響>
次に、変形性股関節症が膝に与える影響について、お伝えしていきます。
股関節は動きやすい関節、膝関節は動きにくい関節です。動きやすい関節であるはずの股関節が、変形性股関節症によって動きが悪くなると、その代償として膝関節が動き過ぎてしまい、強い負荷がかかります。関節の向きが悪くなったり、悪い方の脚が短くなったりすることでも、膝に負担がかかってくるようになります。
すると、膝が内反位(O脚)や外反位(X脚)に変形を来たし、膝の痛みの原因となります。こうなると、膝の周囲の筋肉を鍛えても、ひざ痛はなかなか改善しません。
<日常生活で工夫できること>
変形性股関節症でも変形性膝関節症でも、共通の対処法があります。
大切なのは、関節への負担を減らすこと。体重過多であれば、まずは減量をしましょう。
日常生活で気を付けることは、できるだけ洋式の生活。たとえば、いすを使い正座を避ける、洋式トイレやベッドを使う、などです。ゆっくり歩く、重い荷物は持たないようにする、痛みが強いときは無理をしないということを心がけるとさらに良いでしょう。
股関節も膝関節も、周囲の筋肉を鍛えることで関節への負担を減らせるので、無理をしない程度に軽い運動を続けることも大切です。
<最後に>
股関節の動きが悪くなったり痛みが出たりすることで、膝関節に影響が出てしまうことが
お分かりいただけたと思います。
対処法を日常生活に取り入れていただくことはとても大切ですが、痛みの原因を自己判断してしまうと、病気の発見が遅れ、症状が進んでしまい治療の選択肢が狭まってしまうこともあり得ます。ですので、痛みが1カ月以上続く場合やどんどん強くなっていくような場合には、早めに整形外科に受診して原因を明らかにし、正しく対処していきましょう。
参考サイト:
https://www.joa.or.jp/public/publication/pdf/joa_010.pdf
https://www.seikei.med.saga-u.ac.jp/inquiry/publication/hip/15/04/index.html
https://www.jinko-kansetsu.com/pain/hip/
https://www.jinko-kansetsu.com/ask/200/chap03.html
https://www.kansetsu-itai.com/doctor/doc210.php